先日とある書店で、講談社発行の「無名でもすごい超優良企業」という本を何気なく手にしてびっくり仰天した。「夢の新素材ビジネス」「最後のフロンティアビジネス」というような切り口で、"無名なれどその分野では世界に誇れる優良企業がたくさんある"という書き出しで始まり、その筆頭項目で取り上げられていたのが「セルロースナノファイバー」だった。
鉄の1/5の重さで、鉄の5倍の強度があり、将来自動車や航空機のボディーまで作られる可能性があるという書き出しで、「江戸時代に大砲を作っていた会社」として増幸産業が大きく紹介されていた。掲載されていることはまったくしらなかったので、思わぬプレゼントだった。
24ページ文書抜粋
『 江戸時代に大砲を作っていた会社
CNFを製造するにはいくつかの方法があるが、物理的な力でパルプを微細化する方法と、化学的な力で微細化する方法の二つに分けられる。ここでは物理的手法を用いる時に使用される機械について取り上げる。
埼玉県に本社のある増幸産業(非上場)は、CNF製造装置「スーパーマスコロイダー」を製造している。基本原理は簡単で、高速回転するドーナツ型の2枚の石臼(グラインダー)がパルプを挟み、手でもみほぐすようにすりつぶしながらCNFを作り出す。石臼でものをすりつぶすのは数千年前からある技術だが、石臼の種類、耐久性、石臼間の距離、回転速度などスーパーマスコロイダーには同社の技術とノウハウがぎっしりと詰まっている。これまで海外40ヶ国に輸出した実績がある。
同社は1804年に鋳物業で創業した。技術力が買われて1844年に加納藩より大砲の注文を受けてから大砲製造を本格化。1852年には津軽藩(青森県)からの依頼で、当時不可能とされていた大型砲(砲身3.5m、重さ2.5トン、口径15cm)の鋳造に成功した。その後同社の技術力の高さが全国に広まり、20を超える藩から大砲や砲弾の注文が殺到。1858年までの6年間で大砲213門、砲弾4万1323発を製造した実績がある。』