巨大なターミナル
消えた搭乗機
5月末、成田から北京経由で中国のハルビンに出張したが、行きも帰りも踏んだり蹴ったりの旅だった。
北京からハルビンに向かう便は出発が3時間遅れると掲示板に表示されていた。中国語がまったくわからないため、1時間前からじっと搭乗口の一番前で待っていたのに、気がつくと飛行機は出発した後。知らぬ間に搭乗ゲートが変わっていたようだ。日本のように搭乗していないお客を捜すサービスなど中国には存在しないのだ。来なかった人が悪い、それで終わり。信じられないことだが、国内線カウンターの職員達は片言の英語もしゃべれないばかりか、搭乗案内も英語のアナウンスが流れないこともしばしばなのだ。とにかくその後1時間かかって、筆談も交えやっとの思いで次の便(最終便)のチケットをゲットし午前1時にハルビンに到着。やっと着いた~!と思いきや、何と今度は荷物が出て来ない。調べるとまだ北京にあるという。
ハルビン中心部
帰りも同様にひどかった。ハルビン発の飛行機が2時間半遅れて北京から日本に帰国する便に間に合わず、結局北京でもう一泊を強いられた。当然その夜も荷物はない。 いろいろあったものの、翌日やっとの思いで成田に到着したが、アクシデントは最後の最後まで続いた。またしても私の荷物だけ出てこない。調べてもらうと、積み忘れてまだ北京にあるという。
近年目覚ましい発展を遂げている中国も、実情はこんなものか!と、開いた口がふさがらない。経済成長に対し、システムや民意の成長が追いついていないのだ。
しかし、帰国に際しては女神のような方との出会いが私の心を救ってくれた。ハルビン空港で言葉が分からず困っていた時、ふと隣に座っている若い女性を見ると日本語の本を読んでいるではないか!「日本の方ですか?」と尋ねるとハルビン出身の方で、日本の大学に通う留学生だという。事情を話すと、何とも心優しく親切に私を導いてくれた。一泊余分に泊まることになった時も、ホテルの部屋割、食事、荷物の確認、翌日飛行機に搭乗するまでのすべてに渡り助けていただいた。一番困ったのは食事の際に私にビールを振舞ってくれたことだ。「ここは中国です、これが中国人のやり方です」と。学生の方にご馳走になりほとほと困ったが、お金を受取ろうとはしない。これほど人の温かさを感じたことは未だかつてなかった。この先、もし私が手助けできるような逆の場面に出あうことがあれば、私も最大限のことをしたいものだと心に誓った。イヤなこともたくさんあったが、この方の親切にすべてが報われた。心より感謝! 謝謝!!
中国情報
ハルビンではVISAやJCB等のクレジットカードが一切使えない。使えるのは中国銀行発行の「銀聯カード」のみ。しかたなくホテルで日本円を中国元に換金しようとしたら、ホテルではできず、市中の中国銀行へ行けと言う。
北京空港でも換金を試みたが、国内線ターミナルには銀行の一つもないし、ATMもあの巨大な北京空港にして一台しかない。何とも驚ろ木、桃の木…だった。