高校3年までの9年間、私は剣道少年だった。高3の時に2段を取得。その後3段を目指すも運悪く目を患い、何度も手術を受けるなどしてお医者様から剣道禁止のお達しがでてしまい、以来途切れたまま今に至っていた。今までも何度か"もう一度剣道をしたい!"と思うことはあったが、今一つ決断できぬまま、とうとう40年もの歳月が流れてしまった。
6月初めのある晩、5月に行われた剣道世界選手権の様子をたまたまTVで観た。団体戦決勝の相手は宿敵韓国。結果は2勝1敗2引き分けの辛勝。手に汗握り観戦した私の剣道熱はこの夜ピークに達し、数日後、その熱も冷めやらぬまま川口市の武道館を見学していた。高校生の頃足しげく通った思い出の剣道場。門をくぐるなり当時の記憶が走馬灯の如く蘇った。見学だけのつもりで行ったはずなのに、帰りがけ師範の先生に入会を申し出ていた。早速剣道具を買い揃え、先日ついに40年ぶりのデビューを果たした。普段のジョギングや3年前の100kmマラソンの完走もあって体力には少々自信があったのだが、初日の夜の気温が32℃であることも手伝ってか、自分の非力さを思い知らされた。師範の胸をお借りすることたぶん4~5分だったと思うが、途中から息が上がり青息吐息。気持ちばかり先走るも足が付いてこない。自分の竹刀が師範の面に届く前に、ビシッと打ち込まれる。当然だがまったく話にならなかった。少し休み息を整えもう一度・・。基本の"切り返し"と"面打ち"練習を4~5分ご指導いただきその日は終了したのだが、驚いたのはその後だった。実質的には10分程度の練習だったが、足の皮は剥け、爪からは出血。上がった息は納まらず、そのあげくは手足にしびれを感じ始め、帰りがけ車の中で小一時間休むことを余儀なくされた。その間2ℓの水を浴びるように飲む始末で、熱中症にでもなったかのようだった。
実を申せば、見学した時は「今の自分でもかなりやれる!ひょっとしたら最近の3段より自分の方が上手いかも!」などと、とんでもなく思いあがった感想を持っていたのだが、初回の練習でその妄想は木っ端みじんに粉砕された。(笑)何はともあれ無理をせず、少しずつ慣れることに努め、念願だった3段取得にいつか挑戦したいものだ!