先日書庫を整理していると、生前父が書き残した自叙伝が出てきた。これは主治医から余命1年と知らされてから書き始めたもので、葬儀が終わった後に落ち着いたら読もうと思いしまい込んだままになっていた。今年の2月が父の二十三回忌であったことを考えると、ただの偶然ではないような気がした。
改めて読んでみると、出生前の増田家のことや幼少期・少年期のこと。特に戦争に翻弄された青年期のことは臨場感豊かに描かれていた。連日の戦闘で日々命をすり減らしていた軍隊での生活。明日は我が身と死を覚悟しての日々。そして終戦、復員。それまでの価値観が180度変わった中での復興。祖父が営んでいた増幸商店を立て直すために尽力。後半は今も弊社の主力商品である「スーパーマスコロイダー」の8年にも及ぶ真剣勝負の開発秘話。現在我々が行っている開発行為とは"真剣さ"の度合いが違うことにハッとさせられ、「このままでいいのか?」と問題提起されたような気がした。
今まで「結果よりも、プロセス重視」を方針として掲げてきたが、反面スピード感に欠けることが多かった。来年100周年を迎えるにあたり、父からのメッセージと受け止め、「プロセス重視」+「スピード経営」を今後のモットーとして、理想を追求してゆきたい。