社長(増田)がジャンルにとらわれず不定期に更新していきます

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社長の独り言

増幸産業労働組合回顧録

2009年9月

 2005年5月末、若手リーダーの一人が「社長、ちょっとお話しがあるので会議室までよろしいでしょうか」と声をかけてきた。二つ返事で出向いてみるとそこには10人ほどの社員と見知らぬ顔ぶれ3名がなにやら緊張した面持ちで着席していた。瞬間的にユニオン!の4文字が脳裏をよぎった。確認すると見知らぬ面々は上部団体の幹部だった。いずれにしても招かざる客、会う義理もないのでその日はお帰りいただいたが、好むと好まざるとにかかわらずその日をもって増幸産業労働組合が結成された。組合の幹部達は口をそろえて「自分たちは金のためではなく、もっと良い会社にするために結組した」と連呼していたが、どちらにしても友好的な成り立ちでなかったことが残念だった。

 労働組合の経験も知識もなかった私は、それに関する書物を読みあさり、知人の経験者に話を聞いたり、弁護士の先生にも相談しながら対応を検討した。
組合に加入した者としない者がちょうど半々、組合は過半数を目指すためにあと一人を説得するのに躍起になっていた。とにもかくにも組合ができたことにより社内の雰囲気が一変したことは言うまでもない。まさに一触即発という雰囲気だった。それまでできるだけ社内の風通しを良くしたいと思い、事あるごとに「会社に対して意見や提案があれば何でも言ってくれ」と言い続けてきたし、社長がいない方が自由に発言できるのではないかと席を外し意見を求めることもあったのに「その結果がこれかぁ!」としばし落胆したことを思い出す。

 組合の委員長以下組幹部たちは組合活動を通して何ができるのかもよくわかっていないようだった。組合を作れば経営や人事にも介入できると思っていた節が彼らの発言の中に何度も垣間見えた。いろいろと知恵をつける者がいたようだが、もう少し友好的にスタートしていたら結果は大きく変わっていたと思う。労働組合をすべて否定するつもりはないが、少なくとも友好的でないと良好な関係を維持するのは難しい。

 折しも6月は弊社の決算月、7月から新年度を迎えるにあたり毎年新しい年度方針や目標を示すという時期にあった。その中には新規事業への参入が盛り込まれていて、当然それを実行するため人員のやりくり(配置転換)が決まっていたが、組合はそれを不当労働行為と言い従おうとせず、県の労働委員会に斡旋を依頼。斡旋は3度行われたが、互いに平行線で残念ながら歩み寄れなかった。いずれにしてもそれから3カ月、10回に及ぶ団体交渉を繰り返すことになった。
冒頭にも記した通り、組合幹部はことあるごとに「自分たちは金のためではなく、もっと良い会社にするために結組した」と言っていたが、10回の団交はすべて昇給や一時金の話ばかりだったことには正直失望した。
特に夏のボーナス交渉においてはトヨタをも上回る金額を要求され、正直呆れて二の句が継げなかった。毎回出席していた上部団体のお偉方は何を指導しているのやら・・・ただただ呆れるばかりだった。

冬のボーナス交渉も大企業のデーターを持ち出して要求額としたが、私には私なりの算定基準があり精一杯の額を支払っている自信もあったので“譲歩の余地なし”と伝えると、組合は「ストも辞さず!」と言う。 『私の人生の1ページとしてどのようなことも受け入れる。赤旗立てるもよし、工場封鎖するもよし、やりたければどうぞおやりなさい』と言うと、その後驚くかな組合の幹部4人はあっという間に退職してしまった。良い会社にしよう!と真面目な思いで参加した他の組合員のことなど一切考えず、労働法上認められているので2週間後に辞めますといい、その2週間も有給を消化する始末。

しかも退職金を手にしたとたん、あろうことか内3人は最も行ってほしくないライバル会社に転職。まさにやりたい放題。これを見た残りの組合員の多くはその者たちに失望し組合を退会。「せっかく始めた活動なのでもう少し続けていいですか?」と申し出た2名が活動を続けたが、それも2006年12月をもって正式に解散した。

 何はともあれ“遣り甲斐のある会社にしよう!”を合言葉に、会社のシステムをすべて見直した。全員にアンケート調査をし、皆の意見や希望を聞き、それを基に新しい就業規則やプロセス重視の新賃金体系、またポイント制退職金制度の導入など時代を先取りしたシステムを備えることができた。自分がどう働けばどのように処遇されるのか、自分に課せられた課題は何なのか・・このように人生設計をするための道筋が「見える化」されたことは大きな進歩だ。「腹に溜めない」「言う気は勇気」を実践し、風通しのいい環境を維持したい。
労組事件のお陰をもって新生増幸産業を作り上げることができたことで、今となってはその者たちに感謝さえしている。まさに雨降って地固まるを絵にかいたような出来事だった。



写真は6月に社員全員でウオーキング大会(20Km)をしたときのスナップ。12月には川口マラソンを予定! 今の社内はいい雰囲気だ! ^^!